スクロールバースクリプト

2008/06/02

月に氷はあるのか?

月の地軸は1.6°だけ傾いている.そのため月の極地はほぼ水平に太陽光が入射する.そのため,極地のクレーターの中の深い部分などは太陽の光が当たらない日蔭となる.月の日蔭は氷点下である.常に日蔭の場所は常に氷点下であり,その場所に氷が存在する可能性がある.

1994年に探査機であるクレメンタインが打ち上げられた.クレメンタインからその常に日蔭の場所付近にレーザーを入射し,月面で反射したレーザーを地球で受信した結果,月面にて反射されたレーザーは偏光していることが分かった.それはつまり月面にレーザーを偏光させる物質が存在しているということであり,このことから氷の存在が示唆された.

さらに1998年に探査機ルナ・プロスペクターが打ち上げられた.ルナ・プロスペクターには中性子線分光計が搭載されていて,中性子を検出できる.月の大気は非常に少ないために太陽風や宇宙線がほぼ直接,月面に到達する.それらは月面の内部まで入射し,そこにある元素を破壊しながら減衰する.そこで起きる反応によって中性子が発生し,月面から宇宙に飛び出す.このとき月面付近に水が存在すると,中性子が水分子中の水素を通過する過程で,中性子を吸収し,宇宙に飛び出す量は少なくなる.ルナ・プロスペクターによって,この宇宙に飛び出す中性子の量を観測した結果,極地付近で中性子が弱くなっていることが分かった.これが水の存在によるものであるということから,氷の存在が示唆された.

またさらにミッションの最後にルナ・プロスペクター自身を月に衝突させる実験を行った.その様子を地球から観測する.もし月面に氷が存在しているのならば,ルナ・プロスペクター衝突によって舞い上がる土煙に水蒸気などが含まれるはずである.さまざまな天文台やハッブル宇宙望遠鏡でこの衝突を観測したが、水蒸気の発生は見られなかった.これはルナ・プロスペクターが狙いを外れて氷ない部分に衝突してしまったという説や,水蒸気の発生が少なくどの天文台からも観測できなかったという説などが考えられ,月に水はない,という明確な証拠とはなり得ない.


月の氷の存在を決定づける直接証拠として,まず考えられるのが,ルナ・プロスペクター衝突によって水蒸気が舞い上がるのを確認できていれば,それは直接証拠である.ルナ・プロスペクターの衝突では確認できなかったが,今後また別の探査機が月に向かって打ち上げられた際に,同様にミッションの最後に月面に衝突させ,舞い上がる水蒸気を確認する.これが現時点で最も直接証拠を得る可能性が高い方法だと考えられる.

もうひとつ,氷の存在を確認する直接証拠は直接無人探査機や有人探査機を月の極地に送り,その場所を掘ってみるしかない.現在のところ,掘削の機能を持つ無人探査機での調査の方が現実的であると思う. 直接行って掘る,ということである.しかし,問題はその探査機のエネルギー源である. 氷が存在する可能性がある部分は常に太陽光の当たらない日蔭の部分であるので,そこで作業する探査機のエネルギー源として 太陽光は使用できない.現在,最も現実的であるエネルギー源は蓄電池だと思う.最近になって,電気自動車の開発が進み,非常に大きな容量を持つ蓄電池が登場している.今はまだ蓄電池をエネルギー源とした探査機を月の極地に送るのは無謀かもしれないが,もっと小型で大容量の蓄電池が開発されれば,それは実現可能であると考えられる.また,もっと長期間調査をする必要があるならば,蓄電池がなくなりそうになったら太陽光の当たる部分まで 探査機自らが移動してソーラーパネルを用いてゆっくりではあるが充電して,また極地に向かい調査を再開する,という方法も考えられる.充電時間・移動時間と作業時間を考えるとあまり効率的ではないが,長いスパンで考えれば長期的な活動が可能になる.

さらにエネルギー源として考えられるのは,無線で地球から極地で活動する探査機にエネルギーを伝送するというものである.私は常々思っていた,現在,テレビのリモコン,インターネット通信,赤外線による情報交換などさまざまなものが無線で伝送されているのに,エネルギー自体を無線で伝送できる技術はまったく存在しない.しかし,調べてみると研究は以前から行われているようである.マイクロ波エネルギーを用いて,理論的には可能であるようである.実際に成功した事例もある.現実的にそのような技術が実際に使えるようになるのはいつになるか分からない.しかもそのエネルギーが月の極地で活動する探査機に応用できるか分からないが,そうして探査機が半永久的に活動できるようになれば,氷の調査だけでなく,宇宙開発の飛躍的な発展に繋がることは間違いない.

1 comments:

すみえ さんのコメント...

ねっ簡単でしょっ♪

コメントを投稿